縫い目が防水処理がされていないので8年目にして初めてシルナイロン用のシール剤を塗り、さらに、中途半端に放ってあったガイラインに手を加えていろんなアレンジ張りができるようにセットします。
縫い目を防水処理
Warbonnet Outdoorsのは、生地自体は防水処理されていますが、残念ながら縫い目には防水処理されていません。
特にリッジラインのところで縫い合わせてあるので、そこから雨漏りするとハンモックが直接濡れることになります。
そこでまず防水処理を行います。
まずはシーラントを購入
昔、Sierra Designsの Origami4というモノポールシェルターでも同様の加工をやったことがありますが、シール剤(シーラント)のブランドや商品名が変わっていて、素材に応じたバリエーションも増えています。
どれを買ったらいいのかしばらく悩みました。
結局、GearAidのSEAM GRIP +SILというのを購入。これがシルナイロン用です。
シーラントを塗っていく
小さなブラシが付属しているので、これを使って縫い目にシーラントを塗っていきます。
最初は縁側にSuperflyを広げて塗ってみましたが、これだとタープについているシワのせいで中央の継ぎ目のところをうまく塗れません(くしゃくしゃに押し込んでスタッフサックに収納するのでシワがついています)。
そこで、定石通り、まずはタープを張ってから塗ることにしました。

シーラントを塗るためにタープを張る
先日紹介したRibitekのTP-060を使ってSuperflyを張ります。
なるべくシワが伸びるように張ったら、まず継ぎ目の裏側にシーラントを塗ります。
昔Origami4に使ったSILNETのシーラントよりチューブが大きく、量はたっぷりあるので(直接雨を受ける)表側にも塗っておきました。
次はサイドパネルを引っ張るタイアウト用ループ部分に塗っていきます。
タープの左右に各2箇所ループがあるので、ここも表裏合わせて8箇所塗ります。
縫い目の上に白くテカっているところが、シール剤を塗った部分。

タイアウト部の縫い目に裏から塗る

さらに表側にもシームシール処理
最後に、タープの裾部分の縫い目にもシーラントを塗布。
ここは、防水加工してもほとんど意味はありませんが、シーラントがたっぷり余っているのでついでに塗っておきました。
塗り終わる頃にはすっかり夕方。
シーラントが硬化するには6時間ほどかかるので、Superflyはそのまま一晩張っておきます。
ついでなので、シェルターとして低く設営するテストをやっておきました。

硬化するまで一晩放置
アレンジ張りに必要なガイラインの長さを決める
防水処理から数日後、Superfly専用のガイラインを制作しました。
ちなみに、Warbonnet Outdoorsの公式YouTubeチャンネルにはスタンダードな設営方法とそれに必要なガイラインが紹介されています。
もともとこの動画を参考にある程度作ってあったんですが、サイドのタイアウト用ラインを決めかねたまま放置していたのを完成させます。
さらに、タープポールを使ったアレンジ張りがしやすくなるようにほかの部分も手を加えることにしました。

公式動画の設定例だと使っていないときラインが余り気味
具体的に手を加えたのは次の部分。
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ガイラインの途中に入れていたショックコードは撤去
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ドア用のガイラインを短縮し、クイックリリースバックル接続に変更
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裾のラインは長くしてポーチモードに対応
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サイドのタイアウトはポールモッド(Pole Mod)で利用できるものにする
ショックコードを使った自動テンション調整
1.について補足です。
もともとガイラインの途中にショックコードを入れて自動でテンションを調整できるようにしてありました。風を受け流したり、夜露でラインのテンションが緩んでしまうのを防ぐ工夫です。
しかし、ショックコードが入っているとSuperflyをピンと張ることができず、どうしてもシワが残ります。
張り姿が美しくないのでこれは止めることにしました。

ショックコードでテンションを自動調整するしくみ
このあとは、アレンジ例を実際にテストで設営したときの写真で紹介します。
Superflyのアレンジ例とディテール
フルクローズ
Superflyはヘキサタープの両側にさらにパネルを追加したような独特の形をしています。
この追加部分をドアといい、雨風が強いときやにはここを閉じることができます。

「ドア」を畳んだフルクローズ状態
そこでまずフルクローズに必要なラインの長さを割り出しました。
ちなみにドア用のガイラインはショックコードを使っています。
ショックコードが伸び縮みしてくれるので、ドアパネルを閉じた状態でも出入りするときじゃまになりません。
クイックリリースバックル接続
公式動画では、ドアパネル用ガイラインをタープ裾用のペグに結ぶようになっていました。
しかしこれでは、ガイラインがムダに長くなり、束ねるのもめんどうです。
そこで改めて動画を検索したところ、小型のクイックリリースバックルを使って裾のループに接続している例を見つけたのでさっそくまねしました。

ドアのラインはバックルで接続
上の写真で左下の3角形のパーツが、タープ裾のループでここから地面にラインを張ってペグダウンしています。
右のほうからトライアングルへ向かっている白いコードがドア用のショックコード。
その先端にクイックリリースバックルを取り付けて、トライアングルに取り付けてあるペアのバックルに接続します。

小型のプラスティック製バックルを使用
ヘキサタープ風フルオープン
ドアを折り畳むことでヘキサタープ風のフォルムになります。

ドアパネルを畳むとヘキサタープ状態になる
畳んだドアパネルは反対側のクイックリリースバックルと接続できるようにすることで、ラインを必要最小限に抑えつつ、すっきりまとめられるようになりました。

内側に折り畳んだドア同士をバックルでジョイント
これでラインが余ることもなく上出来!と思ったんですが、風が吹くと風下側のドアパネルが下がって結局ラインがたるむことが発覚。
なるべくピンと張るようにショックコードを引っ張ってみましたが、今度はコードの余った部分を束ねたラインがぶら下がって邪魔です。

余ったラインが垂れ下がってじゃまになる
結局、外側に畳んだほうがよさそうです。
セミオープン
換気したいときは、ドアを半開きにします。
このとき、きれいペグダウンできるだけの長さがあるかどうかが問題ですが、ここもショックコードを使ったことで問題なくレイアウトできました。

換気のため片側のドアだけ開く
ドアは2枚とも半開きにしつつ、ペグを1本で共用することもできます。

両側のドアを開き、ペグを共用した状態
ドア用のショックコードはそのままなので、モードに応じてガイラインを使い分けるような手間はいりません。
サイドプルレイアウト
側面に片側2箇所ずつあるループを使い、ガイラインで引っ張ることでタープ下の空間を広げることができます。
とくに風が強い日にタープが押しつぶされるのを防いでくれます。
2箇所のループからそれぞれショックコードを引き、それを一本のポールにつなぐことでペグダウンするラインをひとつにまとめることができました。
各タイアウト用ループのショックコードはつけっぱなしを想定しています。撤収のたびにいちいち外していたら次の設営がめんどうだし、紛失の可能性もありますからね。

ポールを追加し、サイドのタイアウトを引っ張って空間を広げる

2箇所のタイアウトを1本のポールで引っ張る
このレイアウトは、風上側を低くレイアウトしつつ、反対側の空間はやや広めに確保したいときに有効です。
ただし次に紹介するPole Modに比べると、ガイラインが余計に必要になります。
また開放感という点では最後に紹介するポーチモードには及ばないため、やや中途半端な感があります。
ポールモッド(Pole Mod)によるワイドルーフ設定
サイドプル用のループを使ったアレンジバリエーションです。
ポールを使ったカスタマイズ(Modification)ということで、海外では一般にPole Modと言われています。

テントポールを使ってタイアウトを斜め上に引き上げる

タイアウトからショックコードでポールに結ぶ(コードの長さは調整中)
キャンプサイトに落ちている枯れ枝やトレッキングポールを使い、左右のループから出ているショックコードを結ぶことで、タープの両側パネルを斜め外方向へ引っ張ります。
適当なポールの手持ちがなかったので、今回はテントの補修用フレームをAmazonで購入。
そこから4本を抜き出して使いました。
ポールの1節は約37.8cm。4本つなぎで約150cmほどになっています。
Pole Modオンリーだったら、長さは3本つなぎで充分のようですが、サイドプル用のポールとして兼用することも想定し、4本つなぎにしました。
このモードは風に弱いのが弱点です。
左右のループをポールでつないでいるだけで、地面にはペグダウンしていないため、横風を受けてサイドパネルが押されるとタープ全体がロールしてしまいます。
風が穏やかな好天であれば、余分なガイラインも必要なく簡単に、タープ下の空間を広げられます。

タイアウトをポールで吊るので追加のガイラインは不要
ポーチモード
タープの片側をポールで跳ね上げるスタイルは、海外ではポーチ モード(Porch Mode)と呼ばれています。
ハンモックに入ったままゆったり外の景色を眺めたり、他のキャンパーと会話を楽しんだりできるレイアウトです。

ポールを使ってタープの裾を跳ね上げる「ポーチモード」

150cm弱のポールを使っているので、かなり開放感がある
ポール2本で跳ね上げたり、雨(排水)対策として片側は直接地面にペグダウンするなど状況に応じたアレンジが可能です。
Superflyの場合、さらにドア部分を地面にペグダウンすることで、日差しや視線を遮るちょっとしたシェードとして使うこともできます。

ドアパネルを直接ペグダウンすると、簡単なシェードにもなる
このモードだとポールからペグダウンするぶんだけガイラインが長くなるので、公式動画推奨の標準的なガイラインよりも長いものに作り直しました。
ポールを使わず直接ペグダウンするにはガイラインがやや長すぎですが、その場合はトラッカーズヒッチにすることでよりテンションを掛けやすくしつつラインの余りを減らせるので便利です。
ようやく本領発揮できる段階に
ガイラインを手直ししたことで、Pole Modとポーチモードが使えるようになり、Superflyのアレンジバリエーションがひろがりました。
追加したポールはなるべく軽量になるようにテント用を選んだので、とても軽くしなやかですが風が吹くとかなりたわみます。
風の強い場所、天候が予想されるときはもっとしっかりしたポールを選んだ方が安心です。
ちなみに今回のアレンジでは、自在金具(テンショナー/ランナー)は一切使わず、ロープワークだけで処理するようにしています。

実際のキャンプ場でPole Modをテスト設営してみたところ